重要なのは、ストレスをため込まない、あるいはストレスをいかに上手に解消するかということです。そのためにはいくつか方法があります。ひとつはマインドフルネス心理療法です。

勧めるもうひとつの方法が、レジリエンスを強化すること。レジリエンスとは「逆境にさらされても心が折れず、それを克服していける心の強さ」あるいは「たとえ心がひどく傷ついても、そこから回復し正常な状態に戻せる力」のことだ。
マインドフルネス心理療法は、自己洞察瞑想療法とも呼ばれている。『いま、ここで』に意識を集中する訓練です。静かに目を閉じ、ひたすら自分の呼吸だけに意識を集中させていると、先ばかり見ていた自分の心が、だんだんと現実の自分に戻ってきます。そうすることで資本主義の世界で失われていた自分を取り戻すことができる

レジリエンスが弱い人は、このような「経験という貯金」を増やしていけばよい
年齢や状況に応じて求められる役割や責任は変わってくるので、それに応じた経験を増やせば、レジリエンスは必ず強化できる

挑戦してうまくいかなくても、あまり反省しないほうがいいという。何がダメだったかということばかりに心が捕らわれてしまうと、ネガティブな感情が刷り込まれ、経験することに臆病になってしまうからだ。それよりも、次はどこをどうすればうまくいくかという問いかけを自分にするようにする。レジリエンスを高めるにはそのほうが有効だ

起こっている事象の見方を変えることも大切だ。たとえば、水筒に水が半分入っている状態を表現するときには「半分しかない」とも言えるし、「まだ半分もある」と言い換えることもできる。一見ネガティブな事象でも、見ているフレームを変えるとポジティブに見えるようになる。これはリフレーミングという手法で、意識して習慣にすると、レジリエンス強化にもつながる。ただし、あくまで前提となる経験がないと効果はない

よく自分を変えようと自己啓発本ばかり読んでいる人がいますが、ほとんど意味がありません。たしかに読んでいると溜飲が下がり、自分が変わった気になりますが、人間は頭で理解しただけでは変わりません。毎年正月に年頭の抱負を立てるのに、立春のころにはすっかり忘れてしまっているのも同じことです。思ったり願ったりしているだけではダメなのです。行動することで自分にも周囲にもいろいろな変化が生まれます。その変化を自分で確認し受け止めることで、単なる頭での理解から腹落ちに昇華する。その1つひとつの積み重ねでしか人間は変われないのです

(小玉正博、埼玉学園大学人間学部長 、PRESIDENT 2016年1月4日号




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