必要なのは、「やる気を出したあとで起きるいいことを想像」できる「ポジティブな思考づくり」である。

ハーバード大学でポジティブ心理学の講座を持つベン=シャハー博士は、「ちょっとしたことでもいいので、毎日、楽しかったことや、感謝したいことを思い出して書き出すといい」としている。大切なのは、ポジティブなことに思いを巡らせるうちに、喜びや感謝の気持ちを再度体験すること。今日は何を書こうかという考えが習慣化すれば、周りに起きるいいことに気づきやすくなるというものだ。

“やらなければいけない義務感”がネガティブに働くと、プロジェクトがひと段落したなど“やらなければいけない義務感がなくなったとき”にも、同様の状況に陥ることがある。一気に「目標」や「義務」がなくなったからだ。目標や義務というのは、ひとつの動機づけになる。けれども、その目標があまりに大きすぎたり遠すぎたりすると「どうせむりだ」となりがちだ。そこに必要なのは、目標の達成につながると信じることと、信じられる要素だろう。

身近な目標を達成するごとに幸福感を味わえるようになる。するとまた、次の動機づけにつながっていく。低いハードルを越えた積み重ねが、高いハードルを超える力になるわけだ。

ドイツの精神科医のエミール・クレペリンは、やる気がでないときでも作業をしてみるとだんだんと気分が乗って興奮し、やる気につながるとしている。脳には側坐核という部分があり、側坐核は心で強く思っても働いてくれるものではないが、“とりあえずやる”ことで刺激されて動きだしてドーパミンを放出して、やる気を出してくれるというのだ。

よく、コップの水が「もう半分しかない」と捉えるか「まだ半分もある」と捉えるかでその人の幸福度は決まるといわれる。「もう半分しか」と捉えてしまうことで、人は不満を抱えがちになり、思考もネガティブになってしまう。

作業については逆だ。まずはやってみる。そして、「まだ半分もある」のではなく、「もう半分になった」と捉えることでポジティブな思考が生み出され、“やる気”につながりそうだ。

(タル・ベン・シャハー, 『ハーバードの人生を変える授業』成瀬 まゆみ(翻訳))




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