「二宮さんにはメンタル、技術といろいろ教えてもらいました。特に印象的だったのが、『打てなかったら守れ。守れなかったら走れ。走れなかったら声を出せ。何もできないヤツは夜逃げしろ』『過去でモノを言うな。過去でメシを食えるのは横綱と総理大臣だけ』ともよく言っていた。すごい人で、厳しい人でもあった。二宮さんとの出会いで、僕は変わることができた」

いい出会いがあれば、人は変わることができる。(中略)

二宮との出会いで人生が変わった荒井は、選手たちによく話すことがある。

「『やれ』でやるのと、『やる』でやるのは違う。『やれ』と言われても、選手はやると思う。でも自分で『やる』と思ってやるのとは、同じことをやるのでも中身が違う。そういったことを積み重ねていくと、大きな違いになる。それが社会に出たとき、大事なことになると思う。僕らが携わるのは3年間だけで、その先のほうが圧倒的に長い。ここだけで通用する人間にはしたくない。野球で評価されるのは、野球をしているときだけ。でも、『一生懸命努力することは、一生使える技だぞ』と話している」

荒井の指導者として秀でる部分は、線の引き方だ。例えば、どんな場面で怒り、どんな状況なら目をつむるのか。前橋育英を率いて13年目になるが、選手に怒ることが少ないため、「荒井は甘い」「勝つ気がないのか」と周囲に陰口をたたかれたこともある。
(中略)

技術に関しては怒らないと宣言している。

一方、雷を落とすのは、エラーの処理が間違っていたときだ。
(中略)

一生懸命やったミスを怒るのは、いじめと同じ。でも手抜きや、全力でやらないのは許されないこと。僕が怒るのはそういうところ。エラーしたボールをすぐに拾いにいけば、絶対に怒らないと決めている。

(荒井直樹、前橋育英 甲子園優勝監督、東洋経済オンライン2014年01月07日


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